

はじめに
ステラ清掃化学では、年間で多い時には10件前後、車内の灯油こぼしに関する清掃依頼を受けています。ご依頼の多くは道内で灯油の取り扱いに慣れていない方からで、シート交換や専門清掃が必要になるケースも少なくありません。清掃側も機材や道具が灯油で汚れるほか、処理には環境配慮が求められるため、清掃費用が高額になりがちです。灯油を購入・運搬する際は、事前の確認と適切な取り扱いを心がけてください。
➀ 灯油こぼしはなぜ起こるのか
灯油のこぼれは、単なる不注意だけでなく複数の要因が重なって発生します。まず、容器の蓋が十分に締まっていなかったり、給油時に満タンにしすぎて温度変化で膨張した油があふれるといった基本的なミスが原因になります。さらに、ポリタンクを後部座席や足元に置いたまま固定せずに走行すると、急ブレーキやカーブの遠心力で容器が転倒してしまいます。古くなった容器の亀裂やノズルの劣化も、じわじわと漏れる原因になり得ます。これらは一つひとつは小さなミスでも、組み合わさることで大きな事故につながるため、運搬前の確認が重要です。
➁ 灯油こぼしと車への影響
車内に灯油がこぼれると、見た目の汚れや臭い以上のダメージが残ります。灯油はシートやカーペットに染み込みやすく、素材を変色させたり、接着剤やプラスチック部品を劣化させることがあります。電装系に浸透すれば接触不良やショートの原因になり、最悪の場合は走行中の不具合や火災リスクを高めます。さらに、灯油の臭いは非常にしつこく、家庭用の消臭や簡易清掃では完全に取り切れないことが多く、中古車として売る際の査定価値が大きく下がることもあります。こうした損害は修理費や買い替え費用という形で家計に跳ね返るため、予防が経済的にも重要です。
➂ 灯油こぼしと健康への影響
灯油の蒸気や直接の接触は健康にも影響を及ぼします。揮発した灯油の蒸気を吸い込むと、頭痛、めまい、吐き気などの急性症状が現れることがあり、特に小さな子どもや高齢者、呼吸器疾患を持つ人は症状が重くなりやすいです。皮膚に長時間触れると刺激や炎症を引き起こし、目に入れば強い刺激や結膜炎を招く恐れがあります。換気が不十分なまま車内に長時間いると、低濃度でも慢性的な不快感や集中力低下を招くことがあるため、こぼしたら速やかに換気と適切な清掃を行うことが大切です。
⓸ 灯油こぼしと法律の関係
灯油は扱い方によっては危険物に該当し、運搬や保管に関する規制がある場合があります。自治体や販売業者には保安措置の義務が課されており、消費者側でも容器や表示の基準を守ることが求められます。もし車内でのこぼれが原因で他人の財物を汚損したり公共の場に流出させた場合、損害賠償や行政指導の対象となる可能性があります。さらに、灯油の漏洩が火災や重大事故につながった場合は過失責任や刑事責任が問われることもあるため、法的リスクを避けるためにも適切な運搬方法を守る必要があります。
⓹ 灯油こぼしを防ぐ方法
灯油のこぼれを防ぐためには、いくつかの基本的な対策を習慣化することが効果的です。まず、規格に合った専用容器を使い、給油後は蓋を確実に締めること。容器は満タンにしすぎず、膨張の余地を残すのが安全です。車内に置く場合は避け、トランクや荷台に固定ベルトや滑り止めマットでしっかり固定することが望ましいです。どうしても室内に入れる必要があるときは、二重容器や密閉バッグで万が一の漏れに備え、給油後は容器の外側を拭いて漏れがないか確認してから出発してください。定期的に容器の劣化を点検し、亀裂や変形が見られたら速やかに交換することも忘れないでください。
⓺ 灯油こぼした場合の処置
万が一灯油をこぼしてしまったら、まずは安全確保と換気が最優先です。窓とドアを全開にして蒸気を外に逃がし、エンジンを切り火気を遠ざけてください。こぼれた量が少量であれば、砂や猫砂、専用の吸着パッドで吸い取り、可燃ごみとして自治体のルールに従って処分します。車内に染み込んでしまった場合は、自己判断で無理にこすらず専門のクリーニング業者に依頼するのが安全です。大量漏洩や車外への流出がある場合は、自治体や消防に連絡して指示を仰ぎ、皮膚や目に付着した場合は大量の水で洗い流し、体調不良が続くときは医療機関を受診してください。

